経営情報 / 相続情報

2021.12.21

会社と次世代の未来 No.2

前回コラム「会社と次世代の未来 No.1」はこちら

 

 前回は、事業承継の基本的な考え方についてお話いたしました。

今回は、事業承継をどのように進めて行けばいいのか、具体的な手段についてお話しいたします。

 

それでは自身の状況を考えながら下図を見てみましょう。

     出典:中小企業庁HP

 

 上記の表において重要な分岐点は、青色に塗られている親族内承継従業員承継(親族外承継)M&A(社外承継)廃業です。

この分岐点まで辿り着けば対応策が明確となり、着地点がみえてくるでしょう。


 事業承継は、大きく分けて、三つの方法があります。

 親族に事業を承継することを意味し、一般的には自身の子供や養子が承継相手となります。気を付けなければならない点は、事業用の資産を後継者へ引き継ごうとする時、個人名義となっている資産があれば、その資産は将来的に相続財産に該当するため、場合によっては『争族』となる可能性があることです。

 

 親族ではない役員や、従業員へ承継することを意味します。会社へ共に尽力した社員への承継は、経営の流れや内部事情を理解していることがメリットですが、非上場株式を移転する際に、資金を調達できるかどうかが問題となります。換金性が低く、評価額が高くなりがちな非上場株式ですが、経営権を保有するためには必要不可欠な資産です。また、債務保証の問題もクリアしなければなりません。いわゆる初代経営者は、一から会社を立ち上げていますから、債務や責任に対して抵抗は少ない傾向があるといえます。しかし、社員は、必ずしもそれらに抵抗がないとは限りませんし、人生を変えうる選択ですから後継者候補の家族からの理解も得なければならないでしょう。

 

 『企業の合併や買収』を意味するM&Aですが、近年では後継者問題や、先行きの見えない経営に対する不安などから活発となっている方法です。会社の売却に抵抗感がある経営者も多いのですが、換金性の低い非上場株式が売却出来る点や、債務保証も相手方へ引き継ぐことになります。このように多くの問題が比較的解決しやすいことから、M&Aは有効な手段の一つといえますが、あくまで売買取引ですので売手と買手の意向が合わなければ事業承継は果たせません。

 

 後継者不在や自分の代で会社を廃業させたい等、様々な理由から増加傾向にあります。会社を清算するにあたり、資産と負債を現金化する必要があるため、清算は長期にわたることが多くなります。現金化の末、負債が上回っていれば経営者の私財を投じなければ清算できないことがある等、廃業に踏み切る前に慎重な検討が必要となってきます。


今回は「事業承継」の方法や、その特徴についてお話しました。

次回は、事業承継の重要項目である非上場株式についてお話します。

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