相続情報 / 税務情報

2022.08.31

特例承継計画の提出期限迫る

平成30年1月より10年間の限定措置として、特例事業承継税制という制度が創設されたことをご存じでしょうか。

 この制度は、会社の後継者が自社株式等を先代経営者等から一定の手続きによって贈与、相続を受けた際に、その承継に係る贈与税や相続税が猶予される制度となっております。

 

 自社の株式を承継した場合には、今までもその承継に関わる贈与税や相続税を猶予する制度がありますが、そちあの制度は発行済議決権株式総数の3分の2までが限度であり、さらに相続の際には納税猶予の対象となるのは、その評価額の80%に対応する評価額となっておりました。

 それに比べ特例事業承継税制については適用可能か期間が10年と限定されるものの、発行済議決権株式総数の全てが対象となり、相続の際においても自社株式の100%に対応する相続税が猶予されます。

 この制度は原則として、平成30年1月1日から令和6年3月31日までに、会社が認定経営革新等支援機関の指導及び助言を受けて作成した「特例承継計画」を都道府県に提出し、その後、令和9年12月31日までに先代経営者から贈与又は相続により株式を取得する必要があります。

 メリットが大幅に拡充された制度ではありますが、その前提条件とされる特例承継計画には提出期限がございます。当初、令和5年3月31日までが特例承継計画の提出期限とされていたのですが、令和4年度の税制改正大綱により提出期限が1年間延長されることとなりました。

 そうはいっても、期限が迫りつつあることには変わりありません。この特例承継計画につきましては、計画通りに自社株式の承継が出来なかったとしても、何ら罰則があるものではありません。そのため、少しでも特例措置を選択する可能性があるのであれば、特例承継計画だけでも提出することを検討してみてはいかがでしょうか。

 一方で、計画の実行にあたっては、株式の承継を実行の後、事業をやめた場合など一定の要件に該当した場合には、猶予された税額に加えて利子税を払う必要があるなどデメリットもあります。

 

 このように注意する点もございますが、弊社では事業承継プロジェクトという専門部隊が、制度の件とを含め、円滑な承継に関しサポートさせていただいておりますので、お気軽にお声がけいただければと思います。

同じカテゴリの記事