事業承継
幸せな廃業って? 会社の上手なたたみ方

幸せな廃業って?
「永い間、お疲れさまでした」
ここ数年、お世話になった社長に、こんな声をかける機会が増えてきました。
団塊世代の社長、後継者がおらず、他人に迷惑をかけないうちに廃業したい、との意向を受け、会社の上手なたたみ方を一緒に検討。
幸いにも、自主廃業できる見通しが立っていたため、手続きとスケジュールを確認して進めました。
様々な想いが巡る中、お世話になった方々と笑顔を交わす日に向けて。
今回は幸せな廃業のチェックポイントを紹介します。

会社を清算する流れとは?
廃業(法人の解散・清算)は
(1)株主総会での解散決議
(2)解散登記・清算人登記
(3)財産の現金化・債務の弁済
(4)手持ち財産の確定
(5)株主へ払い戻し
(6)清算結了登記
という手順で実施します。
隠れ借金はありませんか?
会社の保有資産を換金処分し債務弁済に充てますが、もしかすると、隠れ借金があるかもしれません。
想定外の入出金となる場合がありますので、事前チェックが必要です。
チェックポイント
~保証債務・資産の含み損益など~
・リース資産の解約違約金
機械や車両、コピー機など、契約期間内に中途解約すると、残りのリース料を一括支払いしなければいけない場合があります
・従業員の解雇・退職金
支えてくれた従業員への支払
解雇通知を忘れたばかりに、余分なお金を支払わないよう気を付けましょう
・賃借物件の原状回復費用
事業の成長とともに店舗・工場等に据え付けたものがありませんか?
特に産業廃棄物に該当するものは、撤去処分費用が高額になりがちです
・解散・清算に伴う法人税・消費税等
手元に残ったお金、納税資金も必要ですよ
・所有資産の時価売却金額
帳簿価額が1円でも、意外と売却金額が高いかも?
売値がつかないものの廃棄コストは?
・保険解約返戻金
解約金が利益となり、余分な税金を払うかも?
社長や従業員の退職金の原資とすることが多いですね

どのぐらいで廃業できるの?
上記チェックポイントを事前に洗い出した後、実際の手続き終了までの期間は、解散日から最短で3カ月となります。
また、専門家に依頼した場合、登記手続き費用や税務申告費用等が掛かります。
(1)解散申告
解散から2ヶ月以内に申告納税
(2)官報公告
解散公告と債権申出公告
解散日から2ヶ月
(3)残余財産の確定・株主への分配
官報公告の申出期間中(2ヶ月間)は債務弁済ができないため、注意が必要です
申出期間後、債務弁済し、残余財産が確定
株主総会決議に基づき、清算結了登記
株主への出資を払戻し
(4)清算申告
残余財産確定日から1ヶ月以内に申告納税
実務において、早期終了するために、解散日までに出来るだけ資産処分し債務弁済に充てることを心がけると良いでしょう。
今までお世話になった方々への挨拶周りにて
「永い間、お世話になりました」
「お疲れさまでした」
様々な想いが巡る中、笑顔を交わす日に向けて
記事執筆:税理士法人SMASH経営 二宗晃司
![]() にほんブログ村 |
1日1クリックしていただけると嬉しいです! |