税務情報

2025.07.10

法人税の中間申告の時期は?計算方法や注意点も紹介

一定の基準を満たす法人は、中間申告が義務付けられています。

本記事では法人税の中間申告が必要となるケースや申告時期、計算方法について詳しく解説していきます。

納付を忘れた場合のリスクも紹介しているので、法人税の中間申告を正しく理解したい方はぜひ参考にしてください。

 

法人税の中間申告とは

まずは法人税の中間申告の時期などについて解説します。

 

法人税は年2回の申告が必要

法人は事業年度終了後の確定申告のほか、事業年度の開始日から6カ月を経過した日から2カ月以内に中間申告書を提出し、法人税の納税を行う必要があります。

中間申告は、仮決算に基づく方法と前事業年度の実績を基準とする方法(予定申告)2つの方法があります。

 

中間申告の対象

中間申告の対象になるのは、下記の法人です。

● 株式会社や合同会社などの普通法人で事業年度が6か月を超える法人
● 前事業年度の法人税額を前事業年度の月数で除し、これに中間期間の月数を乗じて計算した金額が10万円を超える法人

設立1年目の法人の場合は中間納付の対象外となりますが、合併した法人は1年目であっても中間納付が必要になることがあるため気を付けてください。

なお、公益法人や協同組合等、人格のない社団・財団は中間申告の対象外になります。

 

2通りの申告方法

中間申告には「前年度実績を基準(予定申告)」による方法と、「仮決算」による方法の2通りがあります。

どちらの方法にするかは法人が任意に選択でき、事前の申請は不要です。

また、今期は仮決算で申告して、翌期は予定納税で申告するといったように、毎期違う方法で申告することも可能です。

なお、仮決算に基づく中間申告は決算書等の作成が必要であり時間もかかるため、仮決算の方法にする決定は早期に行い、準備をしておくようにしましょう。

 

前年度実績を基準とする中間申告(予定申告)による方法

法人成りのメリット・デメリット

続いて予定申告とは何か、算出方法や注意点などについて解説していきます。

 

予定申告とは

予定申告とは、前事業年度に確定した法人税額をもとに、一定の計算式で税額を算出し、申告を行う方法です。

この方法では、前事業年度の実績に基づいて納税額を算出するため、決算処理を行う必要がなく、仮決算に比べて手続きが簡単です。

 

算出方法

法人税の予定申告では、下記の算式により金額を算定します。

● 「法人税の予定申告額 = 事業年度開始の日以後6か月を経過した日の前日までに確定した前事業年度の法人税額 ÷ 前事業年度の月数 × 中間期間の月数(100円未満切り捨て)」

前事業年度で確定した年間の法人税額をもとに中間申告額を算出しますが、計算過程で生じた1円未満の端数は切り捨てし、計算結果の100円未満の端数も切り捨てます。

例えば、計算結果が174,999円だった場合、100円未満を切り捨てて174,900円が予定納税の金額です。

 

計算の注意点

中間申告(予定申告)の計算で注意する点として、前事業年度の月数が12か月、中間期間の月数が6か月である場合は、必ず12で割ってから6を乗じなければなりません。

6は1年の半分のため、つい前事業年度の法人税額の2分の1と計算してしまいがちですが、そうすると計算結果に微妙なずれが生じてしまいます。

例えば、前事業年度の法人税額が200万円の場合、100円未満を切り捨てた中間納付額は99万9,900円になります。

一方、200万円の2分の1は100万円となり、正しい計算をした場合と微妙に計算結果が変わってしまうため注意しましょう。

 

仮決算による方法

続いては、仮決算による方法やそのメリット、仮決算しない場合はどのようになってしまうのかを解説します。

 

仮決算による方法とは

仮決算による方法では、事業年度の開始から6カ月の期間を一事業年度とみなして、仮決算を行い、提出期限までに中間申告することです。

仮決算による方法では期末の申告と同様に決算処理を行うため、手間がかかる点に気を付けてください。

なお、仮決算に基づく納税額が予定申告の税額を超える場合、仮決算による申告を選択することはできません。

仮決算による、中間申告書には貸借対照表、損益計算書、株主資本等変動計算書、勘定科目内訳明細書などを添付して提出する必要があります。

 

仮決算によるメリット

前年度に比べて今期の業績が悪化している場合、予定申告による税額よりも仮決算による税額のほうが少なくなります。

ただし、仮決算ではいったん決算時の手続きを行い、添付書類の作成を行う必要があるため、予定申告よりも手続きや計算の手間が増えます。

仮決算による負担と中間申告で減らせる納付額を比較して、仮決算による申告納付を行うか判断しましょう。

 

算出方法

仮決算の場合は、事業年度開始から6カ月間の実績をもとに中間決算を行います。

6カ月が経過した時点で、棚卸資産の計上や未収・未払金の整理、減価償却などを含む通常の決算処理を実施し、中間決算書を作成します。

この中間決算書に基づいて法人税額を計算し、その金額を中間税額として申告・納付します。

 

中間申告書を提出期限までに提出しない場合

中間申告書を期限内に税務署へ提出しなかった場合は、自動的に予定申告書の提出があったものと見なされ、中間税額を納付する必要があります。

申告期限を過ぎてから仮決算による方法へ変更することはできないため、仮決算で中間申告を行いたい場合は、必ず期限内に書類を提出するようにしましょう。

 

法人税の中間納付をしなかった場合などの注意点

法人税の中間申告納付について、納付しなかった場合にどうなってしまうのか解説します。

また、中間納付額を間違えて計算してしまった場合についても、併せて紹介していきます。

 

追徴課税

法人税の中間申告・納付期限は、事業年度の開始日から6カ月を経過した日から数えて2カ月以内です。

この期限を過ぎた場合、延滞税がかかります。

延滞税とは、税金が納付期限までに納付されない場合に、納期限の翌日から納付を行った日までで数えた日にちに応じて課される金額です。

 

まとめ

法人成りのメリット・デメリット

法人税は、事業年度の開始日から6カ月を経過した時点と期末の2回にわたって申告を行う必要があります。

中間申告には前年度実績を基準とする中間申告(予定申告)と仮決算による中間申告があり、中間申告書を提出しなかった場合は、予定申告があったものとみなされます。

仮決算による方法は6カ月が経過した末日で決算を行い、その所得金額をもとに算出した税額を申告・納付する方法です。

例えば、3月決算の場合は9月末までの期間で決算を行います。

仮決算では期末と同様に決算処理を行うため手間がかかりますが、前事業年度よりも経営が悪化している場合は、中間税_額が少なくなります。

仮決算による方法を検討するとよいでしょう。

法人税の中間納付についてさらに理解を深めたい場合は、税理士に相談するのがおすすめです。

監修者情報

杉田 透(すぎた とおる)

税理士法人スマッシュ経営

杉田 透(すぎた とおる)

資格:税理士

経歴

1959年
愛知県豊田市生まれ
1980年
名古屋国税局採用
2010年
法人税担当統括官
2020年
名古屋国税局退職
税理士登録
税理士法人スマッシュ経営 知立本社入社
所属税理士となる

この記事は専門家による監修を受けて作成されていますが、内容の誤りや不正確性によって、読者が何らかの損害を被る場合でも、当法人はその責任を一切負わないものとします。

俳優・竹中直人さんによるWEB経済番組「発見!課題解決カンパニー」に出演しました。

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