2012年2月アーカイブ

 漬物

 食物に関係したことわざは、「青菜に塩」「餅は餅屋」のようなものから、解釈に諸説のある「秋なすび嫁に食わすな」まで数多くあります。

 その中に「漬物賞(ほ)めれば嬶(かか)賞める」があります。しかしこのことわざは、どうやら都会では死語になったような気がします。というのは、都会では人の家で食事を共にするような濃密な人間関係が無くなっているといえます。そして食事が出されるような事態になったとしても、それは寿司の出前(若い人ならピザですか)位で漬物の出番もないでしょう。さらに漬物そのものが奥さんの手製というのも稀でしょう。

 こうなりますと漬物の味や 色 艶 などを賞めるのが、奥さんを間接的に賞めるという、このことわざの真骨頂は無くなりました。だから、漬物の代わりに、愛妻弁当、ズボンの折り目、靴ピカピカあたりを賞めるしか手がないかもしれません。でもこれとても、おかずは夕べの残り、アイロンや靴磨きは自分でやると言われるかもしれません。

 ところで我が家で今も生きていることわざに「魚は殿様に、餅は乞食に焼かせろ」があります。

 これは魚は身崩れしないように、あまりいじらなく鷹揚に、餅は何度でもひっくり返して焼けといっているのです。

 ですから、私がテレビを見ている時に、後ろの台所から声がかかれば、餅を焼くのか、大根おろしか、配膳の支度あたりに決まっているのです。

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 チョイワル

 最近ひょんなことから、何十年も前に口にした「ノーテンホワイラ」を思い出しました。この言葉調べてはいませんが、おそらく「脳天壊了」と書くと思います。当時は頭が悪い、馬鹿の意味で使ってましたがもう死語のようです。(「壊」はホワイと発音して、中国語では通常は悪いの意味です。だから壊人は、悪人の意味です)

 こんなことを思い出したのも、先日ある中国人女性に「男人不壊、女人不愛(注)」という言葉を教わったからです。この意味は、「男が悪でないと女性は愛さない」意訳すれば「チョイワル男を女性は好む」でしょうか。

 うーん、女性の心理は複雑ですね、清潔、誠実、真面目ばかりでも駄目のようです。

さらにこんな古い中国の小咄も思い出しました。「或る妙齢の女性、二人の男性から求婚されました。Aは金は無いけどイケメン、Bはそうではないが金持ち。するとこの女性、昼間はBに嫁ぎ、夜はAの処に嫁ぎたい。と」参りました。以上のような話を聞くと、清潔、誠実に難が有り、金も(今も)無い、私の青春時代のまん中は、胸にとげさすことばかり、だったのは当然の帰結のようです。

(注)

 「壊」も「愛」も現在の中国では、簡体字といってもっと画数の少ない字を、正式な文字として使用しています。これに比べて、昔からの文字を繁体字といって、香港、台湾などで使用されています。

 

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 たから

 この宝という表現は、最近は人に対して使わなくなった様な気がします。例えば「A君は我が社の宝だ」なんて言い方を耳にしなくなりました。もし言うとしたら、多分宝でなくてエースでしょう。

 エースと言えば、日本プロ野球のエースのダルビッシュ投手が大リーグに行く事になりました。この移籍も以前だったら、日本の至宝(しほう)うんぬんの見出しが出たはずです。ですがこのような表現は、もう古くなったのかもしれません。

 そう言えば、テレビのなんでも鑑定団でも、宝に「お」を付けていて、全てお金でいくらの世界です。

 さてこの鑑定団から大脱線をします。というのは、あの番組に、本物の雪舟や大観が出てくることはまず有り得ません。何故なら、本物を持っている、本当の資産家が、あの番組に出演してまで、皆さんにお宝を公表するような無謀なことをする訳がないからです。そんなことをしたら、泥棒も心配ですが、何より将来の相続の際には、相続財産として、ちゃんと申告しなければなりません。そう考えると、あの番組で過去に高額な鑑定額を言われた人は、その後売却するか相続が起きたらどうするのでしょうか。

 どうも話が生臭くなりましたので、話題を変えます。

 中国語にも「宝貝(パオペイ)」という言葉があります。これは宝物という意味よりも、かわいいもの、かわいい人(恋人)、子供、赤ん坊の意味で使われています。

やまとの国でも、山上憶良(やまのうえのおくら)は、しろがねやこがねより、子供の方がまさると詠んでいるではありませんか。

 

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