2011年7月アーカイブ

ワイフ

 先頃亡くなった俳優のピーター・フォークさんが扮した、刑事コロンボのおなじみのセリフが「うちのかみさんが・・・」でした。これは日本語に吹き替えになっていますが、元の英語は「(my) wife」でおそらく間違いないでしょう。私はこれを「かみさん」と訳した翻訳家は、流石だと感心しています。というのは、いつもよれよれのコートで、風采の上がらないコロンボ刑事には「かみさん」がぴったりで、他のどんな代名詞をもってきてもはまりません。これに対して犯人のほうは、いつも上流階級の人間ですから、こちらには「妻」とか「家内」と言わせています。

 ここで、この例のように、人称代名詞の数が多い日本語の特徴の中で、女性の配偶者の言い方を上記以外思いつくまま以下に掲げてみます。

 奥・奥さん・奥様・奥方・嫁・嫁さん・嫁はん・細君・夫人・女房・お母さん・ばあさん・やつ等々から、内儀・令室・令夫人なんてものまであります。この他に方言まで入れたなら、もっと数が増えます。

 以上の中で、最近の若い人は、自分の配偶者の呼び方が、我々年輩者とは明らかに違っています。皆さんは何て呼んでいますか。

 私自身の事でいえば、他人に対しては普段はやっぱり「かみさん」で、改まったときには「家内」位でしょうか。しかし本当のところは、「おっ家内」と呼びたい今日この頃です。

 

 追伸

 「言えない言葉」として「愛してる」から始まって「ワイフ」で終了するなんて、宿命的みたいなものを感じています。

 次回からは、「褒める言葉」をシリーズとして始めたいと思っています。

|

 ロートルとロンパリと露助(ろすけ)

 

 これらの言葉は、若い人は、ほとんど御存知ないでしょう。

 まず「ロートル」を広辞苑で見ますと、『「老頭児」中国語。老人。としより。』とだけの説明。で、もう少し説明を加えますと、「老頭児」は中国語の発音では「ラオトール」で、①おじいさん ②父 に対する呼称で、中国では、今でも使用されています。この言葉は、昔はよく聞きましたが、今では「シニア」という言葉に置き換わったようです。

 次の「ロンパリ」は、広辞苑は記載なし。日本国語大辞典では、『(一方の目はロンドンを、他方の目はパリを見ている、の意から)斜視をいう俗語。やぶにらみ。』と載っています。この言葉を今は聞くことがないのは、①身体の表現で差別用語とも言えるので使わない。 ②医学の進歩で、手術などで矯正できるので、今では町でみかけることがない。 の二つの理由からではいかと考えられます。

 三つ目の「露助」は、広辞苑では、『ロシア人を罵って言うことば。』として載っています。私の知人達で、シベリア抑留の悲惨な体験を持つ人達は、よくこの言葉を口にしましたが、今ではそんな人達も減ったので、使う人達もなくなったのでしょう。

 さてここで、「ろ」で始まる言葉ではないのですが、以前書きました「メッチェン」と同じく学生語からきて、もっとよく使った言葉を思い出しました。年輩の方ならもうお判りでしょう。それは「シャン」です。これも「朝シャン」なんかと違い、ドイツ語からで、顔立ちの美しいこと、また美人をいう俗語で、小説などでも随分使われました。またバリエーションも多く、例えば、後姿(だけ)が美しい人を「バックシャン」なんて言い方もしました。だから今でも、女性の後ろ姿を見てから、前に廻って顔をのぞき込むような、失礼な中高年のおじんがいたら、それは「バックシャン」だからと、少しは許してあげて下さい。

|