2010年4月アーカイブ

 明治生まれの母親がよく口にした言葉に、「裸で道中なるものか」と「人様に迷惑をかけてはいけない」が有りました。前者は、裸で表通りを歩くような、見苦しい事はするな位の意味だったのでしょう。これからすると、電車の中での化粧とか、パンやニギリメシを食べる行為や、某オリンピック選手のシャツの裾出しズボン下げの格好等を母が見たら何と言うのでしょうか。

 又私がこの二つの戒めを、どの位守って来たかは大いに疑問のある処です。特に酒に酔った時の行動については。

 そんな私が現在気になっている事に、葬式というものがあります。 これについては今ブームというか、色々の出版物も出ています。その中でほとんど言及していない事があります。それは葬儀に参列する側の個別事情についての事です。

 私はこの内、特に財力の有る人が行う身内の人の為の豪華なものに一考を願いたいのです。

 私は本音を言いますと、この手の式の連絡は頂かない方が有難いのです。通知が有れば、義理というか義務というか、出席せざるを得ません。その動機も情無い話ですが、打算も入っているのです。そしてせいぜい花輪の数やその肩書きに感心して帰ってくる位がオチです。そうして実施した人の見栄や自己満足には役立ったかもしれないが、死者になんの縁も無かった参加者は何だったかを考えてしまいます。もう少し洒落れた式が出来ないものだったかとも思います。

 そんな訳で、財力も、世間体も、よい知恵も無い、私の(近付く)葬式については、せめて人様に迷惑をかけない為に「葬式も要らない」「戒名も要らない」と言っておきたいし、書いておきたいのです。

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 「世間体(せけんてい)」

 無くて七癖という言葉がありますが、口癖というのもその一つでしょう。「しっかり」とか「きちっと」を多用する人もいますし、「そうするとさいに」なんて長い常套句を使う人もいます。私の友人には会話中に「なるほど」の合いの手を入れる男がいますが、これはこれで仲々に効果的です。相手は自分の意見に賛同と感心して呉れたと思い、良い気分になれます。これと逆に「でも」とか「しかし」を入れる癖の人もいますが、こちらは言うまでもなく要注意ですし、多分損しています。

 さて前置きが長くなりましたが、良く口をついて出るのと反対に、まったく使用しないのもある意味では癖かもしれません。私の場合も、今までまったく使った記憶の無いのがいくつか有りますが、その一つがこの「世間体」です。

 どうもその訳は、私という男が世間体をあまり意識したことが無いせいのようです。

 父の勤務の関係と私自身の下宿まで含めると、今まで引越しを15回ほどやってます。県下に親戚縁者もいません。結婚後のマンション住まいは、向う三軒両隣りというものもありません。その結婚も、仏滅の日に仲人無しに、友人を中心とした披露宴をやったような男です。仕事面でいえば、上司も部下も無いような職場で働いてきました。

 以上のような事情から、私にとっては「世間体が悪い」も「沽券に関わる」なんて言葉は、言えないのでは無くて、縁が無いと言えそうです。これはこれからの(短かい)人生でも続くことでしょう。

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