ある夫婦の会話  その2

「お母さん 苛政(かせい)は虎よりも 猛(もう)※なりって知ってますか」

 「宇宙旅行の話でしょ」

「 えっ 」

 「だって 火星へのトラベルはもうじきだって」

「本当に貴方の耳と国語力には感心します。 もっともこの カンシン は、寒い心と書くべきでしょうが。いいですか、この苛政の苛は、苛斂誅求(かれんちゅうきゅう)の苛ですよ」

 「難かしい事ばかり言わないで。その カセイなんとかを説明して下さい」

「おや今日は珍らしく素直ですね。実はこれ 中国の孔子の言葉なんです。

孔子が弟子達を連れて泰山のふもとを通った時の事です。真新しい墓の前でひどく泣いている婦人に出会いました。孔子がその訳を聞くと、婦人は 虎に身内を続けて三人も殺された と言うのです。そこで孔子が そんな恐ろしい場所からどうして逃げ出さないのか と尋ねたそうです。すると ここは政治が まあまあで 税金の取り立ても厳しくない と、答えたそうです。

これを聞いて孔子は弟子達に、苛酷な政治は、虎よりも恐ろしいものだ、と諭(さと)したという事です」

 「なるほど、いつの時代でも税金は大変なんですね。でも貴方がもっと稼いで呉れれば、取られる事を、もうぼやかなくて済みますね」

「やっぱり すこうしも素直になってませんね」

 

 ※ 「苛政は虎よりも猛(たけ)し」 とも言います。