2008年8月アーカイブ

 貸借対照表をバランスシート、略してビーエス(B/S)とも呼ぶことは、よく知られています。しかしこの言葉を聞くと、私は10数年前の出来事が、どうしても思い出されます。

 それは某自動車会社の自己啓発の為の、経理勉強会の講師として出向いた時のことです。

 ひとしきりの説明が終った処で、以下のような質問というより要望が出されました。

「講師の説明を聞いていると、専門用語で同じ内容のものを A と読んだり、B  だったり、C  であったりする。しかし我々は初心者であるので、用語は一つに統一して説明して欲しい」と。

 これを聞いた私は なんと言ってよいか適当な言葉がみつかりませんでした。確かに経理用語にはこのような事実があります。

「借入金」は「シャクニュウキン」と読む人がいます。「たな卸資産」は俗に「在庫」と言います。事業経営の根幹である「売上総利益(率)」に到っては「粗利益(率)」(アラリエキ、ソリエキ、アラリ)だったり、「荒利益」の字を当てる人もいます。「経常利益」は業界用語的には、「ケイツネ」と呼びます。(「計上」との混同を避ける意味はありますが)

 だから統一して欲しいと指摘するこの会社の人達の 凄さを感じると同時に、その後の説明がやり難くなった事も事実です。

 だが確かに生産現場で こんな事が有っては問題です。「ドライバー」を「ねじ廻し」とも言っていては、昨今のように外国人労働者が多い場合はなおさらでしょう。(まさか ゴルフ道具を持って来る人はいないでしょうが)

 しかしながら経理部門は グローバルスタンダードとかで、用語が増々混乱している感じがします。

 それでは問題です。

 「自己資本」「株主資本」「純資産」の相異を述べて下さい。

 もう一つ、この会社の全国の社員食堂のメニューでは、

 「カレーライス」「ライスカレー」「カレー」のどれでしょう。

|

 誰の言葉だったか知りませんが、「科学的に考えるということは、分類して考えること」は、なるほどと思います。

 交通事故を例にとれば

    車に起因するもの … ブレーキ、ハンドル、タイヤ等

    人に起因するもの … 運転技術、飲酒運転、信号無視、スピード違反等

    その他        … 雨、雪、道路状況等々

 があります。これによって事故を減らす対策も立てられます。

 この、分類して考える方法は、そのまま企業会計や家計にも当てはまります。

 会計事実(簿記用語でいう取引)を記録整理するのに、「現金」「売上」「仕入」「給料」「水道光熱費」等々の勘定科目を設けて、それらに分類して金額を記入します。この勘定科目を仕訳という絶妙な方法で日々記録します。そしてこの勘定科目は、「資産」「費用」「負債」「純資産(資本)※」「収益」の5つの大きな分類のいずれかに帰属します。これにより自動的に貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の決算書が作成されます。

 これは何でもないようですが、すごいことです。かの文豪ゲーテが「簿記は偉大な発明」だと言っていますが、確かにそのとおりです。私もその昔、簿記の勉強をしていたときは、問題を如何に解くかに気を取られていましたが、今になってその良さを再認識している状態です。

 ※ 会計の勉強を始めた人にとっては、この資本項目は判り難い部分です。これが「純資産」と名称が変わり、簿記嫌いがまた増えるのではないかと心配しています。要するに資産と負債の差額概念と考えると、少しは判り易いかもしれません。

|